HIV感染症とエイズの違いとは何か?

はじめ君 照れ

HIVとエイズって違いはあるの?

先生 普通

HIVはヒト免疫不全ウィルスと言う名のウィルスの名前で感染するとHIV感染症になるんだけどこの状態ではまだほとんど症状が出ていない状態だ。

治療を受けず放置すると数年から10年程度無症状の状態が続くんだけど、このウィルスはCD4リンパ球と言う体を守っている免疫細胞に寄生し破壊しながら増殖するんだ。

この免疫細胞が一定数減少すると身体の免疫機能が徐々に破壊され日和見感染という症状が現れ通常は感染しない菌やウィルスなどに簡単に感染しこの状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)と呼ぶんだよ。

エイズを発症すると、様々な感染症や悪性腫瘍、神経障害などを引き起こし、平均3~5年で大半の人が死亡してしまいます。

日本におけるHIV感染者とエイズ患者は、増加傾向である一方、現在は治療方法が進歩し、HIV感染を早期に発見できればエイズの発症を抑えることが可能です。

HIVウィルスってどんなウィルスなのか?

もと子ちゃん 普通

HIVってどんなウィルスなの?

先生 解説

HIVウィルスとは英語では「Human Immunodeficiency Virus」と表記され頭文字のHIVをとった名前で日本語の正式名称はヒト免疫不全ウイルスと表記されるんだ。

このウィルスは人間の免疫細胞に寄生して増殖に利用しながら免疫細胞であるCD4を破壊するウイルスで、免疫細胞が自分の体を守れないくらい減少すると後天性免疫不全症候群「AIDS」エイズを発症させるんだよ。

HIVが体内に侵入すると免疫細胞CD4リンパ球へ吸着し侵入し逆転写酵素を使い免疫細胞の遺伝子に組み込みHIVのコピーを作りウィルスを増殖させます。

HIVに感染した免疫細胞は自分の遺伝子を使い次々とHIVを作り出し放出することで体内の免疫細胞が減りHIVが増殖します。

免疫とは何か?
人間の生活空間には様々な微生物が存在し呼吸や飲食によって体内へ入ってきますがそのような異物から守ったり、体内では日々がん細胞が生まれてきますがそれらを日々破壊し体を守っている恒常的な機能があり、それの防御システムを免疫と呼びます。
CD4リンパ球(免疫細胞)とは何か?
血液を構成する成分である白血球の一種で、体内に入った異物や病原体を攻撃し体を守る免疫システムの一部を担う細胞です。

健康な人のCD4陽性リンパ球数は700〜1300/μl程度ありますが、HIV感染者はCD4陽性リンパ球が次々に破壊され減少していきこのリンパ球数は感染者の病状を調べる指標ともなります。

感染者の体内でHIVを多く含む場所はどこか?
体内に入ったHIVウィルスを体液(血液、精液・膣分泌液、母乳)などに含まれ、これらの体液が他人の粘膜(眼・口の中・尿道・膣・肛門)や、傷ついた皮膚に触れると感染します。

体液にHIVウィルスが含まれるといっても唾液、便、涙、汗、尿にはHIVはほとんど含まれません。

感染経路「どんな行為でHIVが感染するのか?」

はじめ君 照れ

どんなことすると感染するの?

先生 解説

HIVは血液、精液、膣分泌液、母乳に多く含まれており、口の中、ペニス、尿道、膣、直腸などの粘膜や、傷口に接触することで感染するんだ。

具体的にはセックス、アナルセックス、オーラルセックスなどの体液や粘膜との接触の可能性がある性行為や、輸血、注射の回し打ち、母子感染などがあげられるね。

HIVウィルスを多く含む場所や感染が成立する条件から、感染経路はセックス(精液・膣分泌液・血液)、注射針の共用、母子感染となります。

一度感染すると排除ができないHIVウィルスですが、体内の体液は感染力を持っていますが、体外に出された体液は空気や水に触れることで感染力を失うので感染力は強いとは言えません。

そのためHIV感染するには、HIVを含んだ体液が相手の血流に入ることや、感染力のある体液が粘膜へ直接触れることが必要です。

  • 眼・口の中・尿道・膣・肛門などの粘膜は容易に傷つきやすいので、HIVに汚染された体液がこれらの粘膜に触れると感染します。
  • 接触感染のリスクは皮膚に触れても感染することはありませんが、HIVに汚染された体液が傷ついた皮膚に触れると感染の可能性があります。
  • 注射器や注射針の使い回しも、感染の可能性があり、母子感染や輸血による感染の可能性もあります。

なお、汗、涙、唾液、尿、便などの体液の接触による感染の可能性は無く、性行為以外の日常的な接触での感染や空気感染、食物からの感染はありません。

HIVウィルスは日常生活の中では感染しない

日常生活での接触である握手、くしゃみ、食器の共用・トイレの共用・お風呂の共用では感染しませんが、歯ブラシやカミソリなど血液の付着する可能性があるもの共用はやめましょう。

血液で感染しますが、蚊などの吸血性の昆虫を媒体とした感染はありません。

性行為による感染

性行為によるHIVウィルスの感染は世界中のHIV感染症の約75%を占めている大きな感染原因となっています。

多くのパートナーと性交渉を持つ人、風俗店の従事者、男性の同性愛者の感染が多いです。

男性の同性愛者はアナルセックスをする頻度が高く、肛門を使ってのセックスはデリケートな粘膜で膣のような潤滑性が無いことから肛門の内部が傷つきやすいことが感染例の多さの理由と考えられます。

どんな性行為であろうとも、皮膚や粘膜に傷がつけば感染のリスクはあり、HIVに感染している相手との無防備な性交はHIVウィルスに感染するリスクがあります。

性交渉による感染を防ぐ方法は、性行為を控える、感染していないパートナーとする、性交の際には必ずコンドームを装着することです。

性行為の種類と感染リスク

膣とペニスの接触
(セックス)
相手がHIV感染していた場合は、粘膜と粘膜の接触や体液と粘膜の接触があるので感染する可能性があります。

感染力をもつ体液は、精液・カウパー液・膣分泌液・血液で口や膣、尿道の粘膜から感染します。

生理中のセックスや性器に傷などがある場合は、感染確率が高まります。

ペニスと口の接触
(フェラチオ)
相手がHIV感染していた場合は、体液と粘膜の接触が濃厚なので感染する可能性があります。

この行為で感染力をもつ体液は精液・カウパー液で、口や尿道の粘膜から感染します。

膣をなめる・なめられる
(クンニリングス)
相手がHIV感染していた場合は、体液と粘膜の接触が濃厚なので感染する可能性があります。

感染力をもつ体液は、膣分泌液・血液で口や膣の粘膜から感染します。

性器・肛門と手指の接触
手こき
指を挿入する側は、指の小さな傷、ささくれ等からHIVが侵入することはありませんが傷が多きい場合は感染する可能性があります。

挿入される側は、相手の指などから出血が無い場合は問題ありませんが相手の指から出血がある場合は感染する可能性があります。

肛門とペニスの接触
(アナルセックス)
アナルセックスは出血する可能性が高く目に見えなくても傷や出血をともなうので感染する可能性があります。

感染力をもつ体液は、精液・カウパー液・血液で肛門や尿道の粘膜から感染します。

肛門をなめる・なめられる
(リミング)
相手がHIV感染していた場合で、口や肛門に傷や出血がある場合はわずかに感染する可能性があります。

輸血による感染

以前は汚染された血液製剤の使用や注射針の使いまわしなどによる感染が社会問題化しましたが、現在の日本ではそのような心配はありません。

輸血血液も検査精度が上がったため輸血による感染例はほとんどありません。

注射針の使いまわしによる薬物静脈注射

使い捨ての注射針では感染しませんが、覚せい剤などの違法薬物の注射や、国外での医療行為で注射器を使いまわす場合があり、その場合は血液を通して感染します。

薬物を常習している人間はの注射針は何度も注射を繰り返しているので、HIV感染症の大きな原因ともなっています。

タトゥ(刺青)

タトゥ(刺青)を入れる場合は、針や器具が使い捨てであったり、消毒済ならば問題はありませんが消毒が不十分だと感染します。

母子感染

母親がHIV感染していて、予防処置をしていた場合の赤ちゃんへの感染確率は1パーセント以下ですが、治療も予防措置もしない場合は30%程度の感染確率となります。

妊婦が感染すると感染した母親から生まれてくる胎児に感染する母子感染の可能性や出産後に母乳を与えることでも感染の危険があります。

ほとんどの産婦人科で妊娠3ヶ月頃に妊婦の同意のもとでHIV検査を受けることができ、出産前に感染が分かれば赤ちゃんへの感染を防ぐ措置ができます。

エイズ(HIV感染症)の症状「どんな症状が出るのか?」

はじめ君 普通

HIVは感染した時に症状って出るのかな?

先生 普通

出るには出るけど気がつかないかもしれないね。

HIVに感染してから2~3週間ぐらいすると、軽い風邪のような症状がでて数日~10週間ぐらい続き自然に消えてしまうんだ。

その後数年~10年間ぐらいはなにも症状は無いんだけど体の中ではHIVの増殖と免疫細胞CD4リンパ球の破壊は続きこの期間をHIV感染またはHIVポジティブと言うんだ。

もと子ちゃん 動揺

エイズを発症するとどんな症状が出るの?

先生 解説

HIV感染の状態で治療をせず放置していると、HIV増殖と免疫細胞CD4リンパ球の減少がさらに進み免疫力の低下により、発熱や体重減少、リンパ節腫脹、下痢や倦怠感、寝汗や頭痛などの症状が見られるようになり、免疫細胞CD4リンパ球がある数値以下に減少すると、日和見感染や悪性腫瘍、神経障害などエイズ関連症候群と呼ばれる疾患を次々に起こしやがて死に至るんだ。

感染初期:急性感染期(2~8週間)

典型的な症状として、感染後1~2ヶ月たったころに、風邪に似たインフルエンザのような症状が出ます。

多い症状は、発熱、リンパ節の腫脹、咽頭炎、発疹、頭痛、筋肉や関節の痛みが出たりしますが、これら症状は数週間でなくなり次の無症候期に移行しますが、この症状は感染した人すべてに現れるわけではなく症状が出る人は半数程度で症状が現れない場合もあります。

この症状はだいたい2週間くらい続き、その後はまったく症状のない期間が5年から10年ほど続きます。

無症候期:(数年~10年以上)

感染後、症状が出ない期間が5~10年続き、症状は出ないため自覚症状がない場合がほとんどですが、体内ではHIVが増加してリンパ球が減少し、免疫力が少しずつ低下していきます。

長い無症状期のあと、エイズ関連症候群と呼ばれるさまざまな症状が現れ、リンパ節の腫れ、繰り返す発熱、寝汗、急激な体重減少、食欲不振などですが、これらの症状が出たからといってエイズとは限りません。

エイズ関連症候群:エイズ発症期(数年~)

エイズ関連症候群は、体の免疫力が低下しているために現れる症状で免疫低下がさらに進み免疫細胞CD4リンパ球が一定数減少するとエイズを発症します。

エイズを発症すると体が健康な時は感染しない、ウイルスや細菌、カビなどの病原体により健康な時では感染しないような感染である日和見菌感染を次々に起こし厚生労働省が定めた23種類の合併症を起こした場合にエイズを発症したと断定されます。

日和見菌感染症とエイズ診断のための指標疾患

病原体の種類 エイズ症候群
真菌症 1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
4.ヒストプラズマ症
5.ニューモシスチス肺炎
原虫症 6.トキソプラズマ症(生後1ヶ月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
細菌感染症 9.化膿性細菌感染症
10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核(肺結核*または肺外結核)
12.非結核性抗酸菌症
ウイルス感染症 13.サイトメガロウイルス感染症
14.単純ヘルペスウイルス感染症
15.進行性多巣性白質脳症
悪性腫瘍 16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頚癌
その他 20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
22.HIV脳症(認知症または亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱またはスリム病)

検査「どんな検査をするのか?」

はじめ君 照れ

HIVの検査ってどういうことするの?

先生 解説

HIV検査は血液を採取して感染時に血中に出る抗体が出ているかどうかを検査するんだよ。

血中に抗体が出ていなければ陰性、抗体が出ていれば陽性と判定されるんだ。

エイズ検査は主に、1段階目の「スクリーニング検査」と2段階目の「確認検査」と段階を踏んで慎重に検査されます。

スクリーニング検査では、体内のHIV抗体の有無を調べる「抗体検査」、HIVを形成するP24というタンパク質の有無を調べる「抗原検査」、HIVの核酸の有無を調べる「核酸増幅検査(NAT検査)」などの種類がありますが「抗体検査」が一般的です。

この検査で陽性反応が出た場合のみ次の確認検査に移行し確認検査ではより時間をかけて患者の血液を詳細に検査していきます。

スクリーニング検査の陽性結果が非特異反応による偽陽性なのか、本当にエイズに感染しているのか、確認検査の最終結果ですべてが1~2週間程度で判明します。

費用「どのくらいお金がかかるのか?」

病院での検査はNAT検査ならば10,000円から20,000円程かかりますが、一般的な抗体検査ならば5000円前後です。

全国の保健所で実施されている無料のエイズ検査を利用する方法もあります。

保健所に行ったり医療機関に行く時間がない、行く勇気がない、人に知られたくない場合は郵送検査がおすすめで金額は4,000円前後になります。

郵送検査「検査キットってどんな物?」

時や時間を選ばず自宅でできる検査キット(郵送検査)を利用する場合は、採血を自分でする必要がありますが注射器を使わず簡単にできます。

キット内に含まれるランセットと呼ばれる器具でカチッと指を押すと小さな血液の球ができるので、その血をろ紙に染み込ませて血が付着したろ紙を返送用封筒に入れてポストに投函するだけで完了します。

検査結果は1週間程度で郵送、または3日程度でインターネットで確認でき人に会う必要はありません。

尚、HIV感染には「ウインドウピリオド」と呼ばれる陽性反応が出ない期間が潜伏期間があり、感染してから1ヶ月程度の期間に検査をしても陽性反応が出ない可能性があります。

治療「検査が陽性の場合はどんな治療をするのか?」

はじめ君 照れ

検査が陽性だったらどんな治療をするの?

先生 グッド

現在の医療では体内に侵入したHIVを完全に排除することはできないんだ。

ただ、医学が進歩して色々な治療薬が開発されHIVの増殖をおさえることは可能となり、免疫力を維持は永続することが可能になったんだよ。

だから、HIVに感染しても、早期に治療を開始して適切な治療を継続すれば、普通の生活を送り仕事も普通にして安全に出産することも可能となったんだ。

エイズを完全に治療する方法はありませんが、複数の薬を併用する治療法により、エイズの発症を遅らせたり発症を抑制することはできるので健康な人と変わらない状態で日常生活を送れるようになってきています。

エイズ治療に使用される薬の種類


1~2剤の内服治療だと、ウイルスが耐性を獲得してしまい薬の効果が無くなるので抗HIV薬を3~4剤同時に内服が主流です。

核酸系逆転写酵素阻害剤
ドルテグラビルナトリウム、アバカビル、ラミブジン配合剤、エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビル、エムトリシタビン配合剤
非核酸系逆転写酵素阻害剤
エファビレンツ、エトラビリン、ネビラピン、リルピビリン
プロテアーゼ阻害剤
アタザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル
インテグラーゼ阻害剤
ドルテグラビル、ラルテグラビル
侵入阻害薬
マラビロク
HIVに効果のあるワクチンはあるのか?
「アメリカのみHIVを予防できる薬を承認」

アメリカでは非感染者が飲むことでHIV感染のリスクを下げられる薬が存在します。

ツルハダという薬で日本では抗レトロウイルス薬を合わせて処方されるHIV-1感染症に使われる治療薬です。

アメリカではパートナーが既にHIV-1感染症である感染の可能性が高い人を対象に予防薬として承認されています。

日本ではツルハダは看護師や医師などの医療機関の人間がHIV患者の血液のついた注射針を自分に誤って刺してしまった場合などに限って、HIV予防として使用することができます。

日本では治療で使用する場合に限り保険が適用される高価な薬です。

予防「どうすれば感染しないか?」

もと子ちゃん 普通

どうやって予防するの?

先生 普通

感染源と接触しないことが大切で、性行為をしない(NO SEX)か、する場合はより安全な性行為(SAFER SEX)が予防法になるんだよ。

感染者の8割以上の人が性行為による感染でその感染源は血液、精液(先走り液も含む)なのでそれらとの接触を回避することが予防法となります。

感染の可能性のある性行為は膣性交、アナルセックス、性器や肛門をなめる行為なので、それらを行う時はコンドームを使用して、精液・膣分泌液・血液などとの接触を避けましょう。

コンドームの使用は行為の最初から最後まできちんとつけるようにしましょう。

自分のHIV感染が気になったら

  1. 症状や自分の行為に心当たりがある

    HIVは感染した段階では症状が出ないので、症状から自分で推察することはできません。

    自分が感染したかどうかを調べたい場合は検査を受けましょう。

  2. 陽性の場合

    検査結果を持って病院へ行き治療を受けましょう。